キックボードで伊豆大島一周サイクリング(2) 大島公園


より大きな地図で 20110816 伊豆大島 を表示

2011年8月16日、かつてないほど過酷なミッションを果たすべく、早朝、巨大な荷物を背負って竹芝桟橋に馳せ参じました。



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06:50 竹芝桟橋に併設する竹芝ふ頭公園です。

写真は帆船「日本丸」のマストをかたどったレプリカでこの公園のシンボルです。あと30分足らずで大海原へ漕ぎ出すガンバの冒険が始まる予定でしたが、わたしの表情はとことん暗い。

というのも浜松町駅からここまでのおよそ10分の道程で、キャンプ用具をパンパンに詰め込んだリュックが肩に4cmくらいメリ込み、完全にグロッキーになっていたのだ。

リュックじゃなく、こなきじじいを背中に背負ってるんじゃないかと思って4回くらい振り返るほど、とにかく尋常な重さじゃなかったんです。

正直、こんなの背負って一周50kmの旅は行ける気がまったくしません。

長い間、ご声援ありがとうございました。
次回作にご期待ください。(完)


・・・ではなく、

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07:15 初志貫徹の言葉だけを支えに、フラフラしながら東海汽船の誇るジェット船「セブンアイランド号」に乗り込んだ。

ジェット船とはジェットエンジンで海水を吹き出し、水上を揚力で浮き上がって飛ぶ、文字通り「海のジェット機」だ。

水中翼で水上を疾走し船体への海水の抵抗を少なくすることで時速80kmのハイスピードを実現、しかも波の影響をほとんど受けないため船酔いの心配も激減するという半端ない副産物も生じる。マジですげー。



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船内です。見た感じ飛行機に非常に似通ってる。航行中のジェットエンジンの推進音も飛行機にクリソツだ。これでチャイナドレスのキャビンアテンダントがいれば中華航空と区別つきません。



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09:15 というわけで、大型客船だと6時間くらいかかるところを、わずか二時間足らずで伊豆大島に到着してしまった。真夏の伊豆大島の日差しはとても暑い。同じ東京都とは信じられん。

到着港は伊豆大島北端の岡田港です。伊豆大島の船の発着は、島の西側の元町港か北側の岡田港で、どちらになるかは季節や当日の海の状態で、何と直前でドタ変更される。観光地としては元町港の方が栄えてるようだ。



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まずは港の待合所で颯爽とキックボードを組み立てた。

普段は近所のコンビニ往復くらいしかしない彼は、これからどんな過酷な運命が待ってるか気付いてない。愛玩犬を闘犬の檻に放り込むようなもので密かに合掌した。尚、周りではサイクリング目的で同じようにチャリンコを輪行して来た人達が自転車を組み立ててたが、

「え、キックボードですか?(まん丸目)」

って何人かに声をかけられた。俺が俺に聞きたい。



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10:06 このまま東京にトンボ帰りする理屈が見出せず、ついに出発した!

岡田港から写真の大島一周道路に出るには、ウォーミングアップには強烈過ぎる坂を登っていく必要があり、それだけですでにグロッキー状態だ。

オレンジのリュックを背負った肩は心臓まで下がり、一蹴りごとに全身の筋肉が悲鳴を上げる。キックボードも巨大な重量で通常よりスピードが出ない。

でも車通りの無い整備された広い道路と、潮の香る島風は気持ちがいいな。



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少し行くと青い海が見えてきた。

オラ、ちょっとワクワクして来たぞ。



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10:15 立派な公衆トイレがあった。

人一倍、繊細なわたしは、ウォシュレット完備の公衆トイレが現れない限り普段は目もくれないが、よく見ると天井が展望台になっている。面白そうなので登ってみた。



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絶景の太平洋だ。視力7.0くらいならハワイが見える。



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その間、キックボードとリュックという名のバラストはあんな感じで放り出してきた。もはや盗まれてもいいやモードになっている。

って10分くらいいたけど結局、誰も通りませんでした。島の交通事情が大体分かった。



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10:20 再び前進開始。

写真はネットで目を付けてた食料品や雑貨を扱う見た目どおりの「武田商店」。予定通りここでオニギリを補給するミッションに移行する。

と思ってたら残念ながら売り切れ。仕方なくサンドイッチを買ってその場で貪り食った。ああん、サンドイッチじゃサバイバルの雰囲気が出ない。



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11:09 第二のオアシスポイントの「大島公園」がやっと見えてきた。

第一オアシスの武田商店との間にゾンビや山賊の襲撃など、見せ場が山ほどあったのだが劇場公開版で。すでに疲労困憊だ。



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ここが最終目的地だったら間違いなくハッピーエンド。



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大島公園は椿資料館や、椿園・植物園・動物園などが併設された施設だ。少し離れたところには「海のふるさと村」というキャンプ場もある。

他に写真の売店で食事やカキ氷なども売っていた。伊豆大島ではメジャーな観光地であるためバスで来た団体客がそこそこいました。



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とりあえず、脱水症状と熱中症で死ぬ寸前だったので、冷たい「大島牛乳」を一気飲みした。・・・犯罪的だ。キンキンに冷えてやがる!



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疲れを癒すため、しばし、というか、かなり、というか、相当休憩。例によってキックボードと荷物は入口に投げ出してある。

まずはこの先のルートの情報収集だ。「椿資料館」に足を踏み入れ、係のお姉さんに色々聞いたが電話番号とメルアドは聞けなかった。



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椿資料館の館内です。そう、実はここが最後の補給ポイントとなるのだ。

伊豆大島の東側のここから先は、人家・店舗・観光地も無く、自動販売機の類や車通りもなく、日が暮れると街灯も無くサイクリストすら通らない、おまけに携帯の電波が通じないため何かあった場合、助けを呼べず危険、と人食い虎でも出る勢いでガイドブックに書かれてたのだ。



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お姉さんに、これからキックボードで伊豆大島南端の波浮港まで突っ切ることを話すと、日が暮れるまでに携帯が通じる波浮港まで辿り着ける自信が無ければ行かない方がいいわよ、と言われた。

考える時間が欲しく、大島牛乳をもう一本、一気飲みした。



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ベンチに座ってA型特有の長い長いシンキングタイムだ。完全に風景と一体化している。

現在、時間は12時半。日が暮れるまであと5時間くらいある。さすがにそれだけあれば大丈夫だろう、と思ったが、問題は時間よりも体力だ。

伊豆大島の東側は山道で相当なアップダウンがあり、上り坂はキックボードの構造上、歩くしかないが、浜松町駅から竹芝桟橋までの10分程度の歩きでヘロヘロになったことを考えると、本日予定の25kmを歩ける自信はまったく無く、上り坂の途中で身動き取れなくなる可能性があった。

おまけに当時、山岳遭難系のノンフィクション本にはまってたのが悪い妄想を膨らました。今ならバスで西側の元町港に行き、そこでいくらでもタクシーが拾える・・・覚悟が決まった。



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少し作戦を変えることにした。

こなきじじいが入ったオレンジ色のリュックはセオリー通りに肩に背負うと正直、体力的に厳しすぎる。

そのため、写真のように我が相棒に完全に泣いてもらうことにした。これで走行中にわたしにかかる重力はポケットに入ったiPhoneとタバコと日頃の罪悪感だけだ。ペットボトルを大量購入し準備は整った。



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13:02 気合で出発した。

大島公園に着いたのが11時くらいだったから結局、一人ぼっちで二時間近く休憩したらしい。我ながらよっぽど行きたくなかったようだ。

出発と同時に写真の急激な坂道が待ち構えており、心が折れそうになったが、リュックをキックボードに押し付けた効果は大きい。何とかいけそうだ!



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直線になったが延々と坂道が続いている。

キックボードには当然、原動機は付いてない。

ならば延々と歩くしかないではないか。単純な話だ。



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13:51 孤独なマイウェイが続く。

開けた場所に出て、有名な大島砂漠に遭遇した。噴火による溶岩流の産物だ。東京砂漠は聞いたことあるが、ってここも東京都か。



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コーナーを曲がると、10回に2回くらい、このような下り坂がある。そりゃそうだ。山である以上、基本、最終的にはプラマイ0なはずだ。

颯爽とキックボードで下ろうとするが、リュックを背負ったキックボードは重量がハンパないため、スピードが付くと標準装備の貧弱なブレーキではまったく止まらなり、その恐怖は半端ない。

つーか、じゃあこれも歩くしかないじゃん!何か歩いてばっかだぞ。



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とあるコーナーを曲がると綺麗な海が見えた。
これはいいね。しばし立ち止まって眺めてた。

山道は一定の周期で風が吹き叫び周囲の木々が轟音を立てる。一人っきりの山中から見る、自分だけの美しい光景は格別だ。

しかしここまで情報どおりiPhoneは完全に沈黙。場所がまったく分からん。



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ジャイアンが上に登ってリサイタルを開いてそうな土管型シェルターを見つけた。噴火時の火山岩から逃げ込むためのものだと思われる。

20分歩いて5分休憩、を果てしなく繰り返しペットボトルの消費量が半端ない。果たして持つのだろうか。



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14:29 島中央の三原山に上がっていく「月と砂漠ライン」にぶつかった。

いや、ちょっと待て、ここはガイドブックの地図に載ってたぞ。

やっと場所が分かった!



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15:11 相変わらず一人ぼっちだ。寂しいので休憩がてら遊んでみた。

わたしがこのまま行き倒れたら、生前の最後の姿として各テレビ局で使われネットで晒される予定の貴重な写真だ。何枚か写して、念のため写真写りが一番いいのを残した。



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15:20 お、これもネットの情報どおり落石通行止めによる迂回路が出現した。

そろそろ携帯圏内。ここら辺りから上り坂が少なくなってスピードアップし、またやっと何人かのサイクリストとすれ違い挨拶した。文明世界への回帰は近い。何とか行けそうな気がしてきたぞ。



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何十回目かの登り坂で、デカい黒い弾丸が視界の端を動いてるのを感じた。

一瞬で歴戦のGハンターの血が蘇り、0.2秒で懐のゴキジェットプロをまさぐったが丸腰なのを思い出し、白兵戦を想定して身構えた。地球を嘗めんなよ!

しかしよく見ると・・・昆虫界一のイケメン、ノコギリクワガタでした。養殖物じゃない天然物です。



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そのカッコ良さはサインもらいたくなるレベル。



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ちなみに現在地はここ。iPhoneの電波も復活した。



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16:13 そしてついに南端の波浮港に辿りつきました!

波浮港は川端康成の小説「伊豆の踊子」の舞台で、写真の場所は港を一望できる展望台です。ベンチに座ってしばし感慨に浸りました。

あとは暗くなる前にキャンプ場へ急げ!



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16:50 本日の最終目的地「トウシキキャンプ場」に着きました。
一面の芝生が輝いてます。

この市営のキャンプ場ですが、着いたときは5組くらいのテントが張られてたくらいで、テントを張る場所は選び放題。この芝生全体がわたしの今晩のベッドだ。1000人くらいと川の字で寝れる。



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17:16 初体験でしたが、思ったより簡単にテントが張れました。

テントはsnow peakの「Landbreeze Solo」です。L-Breath新宿店で店員さんに、素人なんですが・・・と相談して選んでもらった。キックボード一人旅で来た客は初めてだと言ってた。そりゃそうだ。

ここは海が近くかなりの海風が吹いており、今にもテントが吹き飛ばされそうだったため例のオレンジ色のバラストを「貴様も少しは役に立てい」と、重しとしてテントの中に放り込んできた。

疲れて食欲はあまり無かったが、よく考えたら今日はサンドウィッチくらいしか食べてない。飯を食べよう。炊事場も竈も空いている。キャンプ場の近くに売店っぽい小さな食料品店もあり、そこで食材を買ってキャンプらしく自炊することも可能だったが、ここは・・・



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18:30 というわけで、気がついたらキャンプ場に来る途中で見つけた寿司屋「大関寿司」のカウンターに座っていた。

ビールとジュースがうまい!



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寿司は無意識に「特上」を頼んだ。ここで食わずしていつ食うというのだ。

やっと生き返った。つらい一日だったけど、終わってみれば普段は見ることができない貴重な体験ができた。来て良かったと思った瞬間でした。



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帰り道。キャンプ場は真っ暗。
iPhoneの懐中電灯アプリがガチで真価を発揮した瞬間です。

美味しい料理でお腹は一杯。帰り道は腹ごなしにちょうどいいお散歩で、疲れもあり今日はぐっすり寝ることができそうです!



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3:40 テントの中です。

たぶん22:00くらいに消灯したのですが、夜になって風は嵐となり、強風と地面の硬さと疲れの三重奏でまったく眠れない。

特に風はすごい。テントの壁がぐにゃぐにゃと踊りまくってる。

仕方なく星空の下で、色んな人に迷惑メールをしました。(続く)

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